#01 | 夕日のまちのお菓子屋さん。
北海道留萌市にて長く愛されている菓子店のリニューアルに際して、VI全般を担当しました。代替わりを機としたリニューアルは、店舗の内外装からロゴマークなどまで一新する大掛かりなもの。先代が38年間守り続けた「ルモンド」の今とこれからをスタッフ一人ひとりが真剣に考え、見つめ直したことがようやくかたちとなり新しく生まれ変わりました。
お店づくりにあたり新たに掲げたのは、「夕日のまちのお菓子屋さん。」というテーマ。オーナーお気に入りのこの文は、常に心に留めておけるようにという想いからショップカードやパッケージデザインなどに盛り込まれています。地域に向き合い、愛され、人々に幸せを運ぼうと努め続けてきたルモンド。何を新しくし、何を残すのか。オーナーとともに考え、試行錯誤しながら一つひとつ丁寧につくりあげていきました。
故きを温ね新しきを知る
夕日のとてもきれいなまちに生まれたその店には、お菓子を通して地域を盛り上げ、この地の美しい情景をお菓子に込め伝えたいという先代の想いが溢れています。ロゴデザインにおいて大きなキーワードとなったのは「心」と「まち」。歴史あるそれを視覚的に表現すべく、ラフデザインを起こし形状や色などの検討を重ねました。イメージや視認性なども考慮しながら色味や彩度を調整し、ブランドカラーに夕日を表すオレンジ色を設定。ロゴマークはごくシンプルなオブジェクトを組み合わせて留萌の「ル」と「心」を表しました。ビタミンカラーともいわれる元気な色と遊び心が隠れたフォルムで、新生ルモンドのスタートにふさわしい、明るく若々しい印象に仕上がっています。
新しく作り出す一方で、それまでの和文タイプロゴは残すことに。長く愛用されてきたそのロゴには古き良き時代の趣があり、想いと一緒に引き継がれるかたちとなりました。今回新たに起こしたメインの英文タイプロゴは、そのオリジナルロゴの持つノスタルジックな雰囲気も考慮して提案しています。在るものに敬意を表しつつ、新しさも取り入れてゆく。スピリットはそのままに、オーナーと同様、ロゴタイプも若きに“代替わり”となりました。
たくさんの「心」をこめて
ロゴマークのほか、今回のリニューアルではショップカードや紙袋、包装紙などもトータルでデザイン。主力商品も並行してパッケージを一新しました。包装紙にはロゴマークをモノグラムパターンとして展開、実際に包みやすさなど作業性を確認してもらい用紙を選定しています。毎日心をこめて作られたお菓子たちは、ロゴマークに隠されたたくさんの「心」で包まれてお客様に届けられます。それはルモンドが大切にしているお菓子づくりへの熱い「心」、お客様への感謝の「心」。デザインというプロセスを経てクライアントの想いが“かたち”となり、大切なメッセージを伝える一助となれることを目指しています。